39歳の奮闘が光った。阪神福留が意地を見せた。5点を追う5回だ。次打者席で見たグラウンドは、武者震いする光景だった。

 目の前で好調の高山が内角球を痛烈に引っ張る。2点適時三塁打で3点差に縮めた。もちろん高山は、三塁に残っている。数少ないチャンスに燃えた。

 カウント2-2からの5球目だ。スライダーに打ち損じたが、ボテボテのゴロはスライスしてイレギュラーバウンドを誘う。遊撃大引が戸惑いながら送球動作に入る。微妙なタイミングに全力疾走。「高山がああやってつないでくれた。何とかしようと思って、結果的にラッキーだった」。間一髪のセーフをもぎとる、執念の適時内野安打だ。

 前日25日、横浜でのDeNA戦でも鮮やかな中前適時打をマークし「結果が出ないより、出るに越したことはない。続けていけるようにね」と話していた。まさに闘志たっぷりの激走で5試合連続安打に伸ばし、4試合連続打点になった。

 クライマックスシリーズ進出に向けて、いまは勝負どころだ。金本監督も週1回の休養日を設けずに、主軸にフル稼働を期待する。6月以降の3カ月は月間打率3割2分を超え、夏バテ知らずだ。右翼守備でも9回1死満塁で大引の浅い飛球を再び必死に走って前進捕球。若手の勢いに負けない気概にあふれていた。【酒井俊作】