逆転のコイに救援投手ありだ。広島は連勝が4で止まり、黒田が8敗目を喫した。だが6回以降をつないだ岡田明丈投手(22)、大瀬良大地投手(25)が好救援。一岡竜司投手(25)もピンチを背負ったが無失点でしのいだ。この日ばかりは逆転とはいかなかったが「レッドロケットボーイズ」の好投は、今後を見据えても頼もしい。

 いける、という気配は漂っていた。9回の攻撃では走者を1人置いて安部が左翼ポール際へ大飛球。結局、紙一重のところで42度目の逆転勝利とはならなかったが最後まで攻め続けた。黒田が5回3失点で降板。その後を受けたリリーフ陣がスコアボードに「0」を並べ、風向きを変えようとしていたからだった。

 6回のマウンドに立ったのは岡田だった。中継ぎマウンドは2試合目。「入りに気をつけた。まだ2試合目だけど、最初よりはよくなってきている」。先頭の藤井に内野安打で出塁を許すもデイビーズを見逃し三振。1死一塁から坂口を併殺に仕留めた。要したのはわずか9球で、変化球はカーブの1球だけ。最速147キロの直球で押した。

 7回の攻撃で岡田に打席が回り、代打が送られた。その後のマウンドに立ったのは大瀬良だった。荒木を二ゴロに打ち取ると、山田を左飛、バレンティンを空振り三振に打ち取った。こちらも最速は147キロ。「自分の仕事はできた。今日は残念だったけど、継続していきたい」と笑った。8回の一岡も満塁のピンチを招くも粘った。こちらも最速は147キロだった。

 試合前だった。いつもブルペンで投手陣の球を受けている松本隆ブルペン捕手が胸を張った。「うちの自慢のレッドロケットボーイズがやってくれるよ」。今村、ジャクソン、中崎の「勝利の方程式」だけではない。ビハインドやロングリリーフをこなす「裏方程式」も、とにかく球が速いのだ。先発に回ったヘーゲンズ、薮田も速かった。

 惜しくも敗れたが、巨人も敗れたため優勝へのマジックは6に減った。大瀬良は「僕たちが粘れば、打線は逆転してくれる」と言った。レッドロケットボーイズが刻んだ「0」の意味は大きい。【池本泰尚】