巨人が凱旋(がいせん)の“引き立て役”になった。CSを見据えて戦うセ・リーグ覇者に0-5で完敗。投打守で圧倒されて白星を献上し、試合後のチャンピオンフラッグ贈呈式に花を添えてしまった。胴上げに続き、目の前で歓喜の瞬間を迎えられた高橋由伸監督(41)は「もうちょっと打ってくれないと。点を取らないと勝てない」と表情を硬くした。

 ルーキー岡田の前に、打線が沈黙した。1点ビハインドの5回2死三塁では、長野が内角150キロに見逃し三振。CSに向けたテスト登板で気合十分な若武者の、勢い十分な直球に差し込まれた。6回以降のリリーフ陣も崩せず4安打無得点。村田ヘッドコーチは「打撃陣に頑張ってもらわないと。寂しいわな」と奮起を求めた。

 投手陣も地力の差が出た。先発田口は粘り、5回以外は毎回走者を背負いつつ6回1失点にまとめた。だがブルペン陣がピリッとしない。6番手戸根が8回2死満塁で田中に走者一掃の適時二塁打を食らって、勝負は決した。前日14日の中日戦では2点リードを守護神沢村が9回に追いつかれ、延長11回4時間37分を戦い抜いた末に散った。シーズン終盤にきて、チームの屋台骨の投手陣が揺らいでいる。

 7回1死一、三塁では、三塁村田が真正面のゴロをはじいて、あっけなく追加点を許した。マツダスタジアムでの今季最後の広島-巨人戦。移動ゲームの疲労を差し引いても、CSファイナルSの“前哨戦”とは思えない凡ミスに、高橋監督は「村田からすればイージーなボールだったと思う。きっちりアウトを取らないと相手は優勝チームなわけですから(勝つのは)難しくなる」と断じた。残り12試合。投打守で見せつけられた王者との力の差を、少しでも埋めていきたい。【浜本卓也】