今のチームに必要なものは何か-。巨人内海哲也投手(34)が、120球にその答えを示した。2連敗中の悪い流れを引きずるように、初回に2失点。苦境のチーム状況を反映する投球も「1回裏に逆転してくれて、絶対に勝たないといけないと思った」と2回以降はフォームを修正。8回2失点で3年ぶりの2ケタ勝利に王手をかけた。

 あきらめの悪さが、野球人としての原点だった。中学時代は、1歳年下の楽天今江らに主戦投手の座を奪われ、3番手投手。敦賀気比高に入学後も、将来を期待されたのは別の投手だった。「野球選手って、あきらめの悪い人間の集まりちゃうかな。上には上がいるけど、負けたくないとか、反骨心とか。やり続けたから今があるし、これからもそれは変わらへん」。

 戦い続ける姿が、チームを勇気づけた。優勝を逃し、次なる目標を2位に修正するが、切り替えには時間がかかるのが普通。それでも、下からはい上がるスタイルの内海には無関係だった。自らの2ケタ勝利ももちろんだが、見据える先にはクライマックスシリーズ(CS)。2回以降、両コーナーのギリギリを突き、職人のような丹精を込めた投球で連敗を止めた。

 仲間を救う快投だった。チームで20試合ぶりに8回を投げ抜き、11連戦真っ最中のリリーフ陣を休ませた。8回裏の攻撃。代打を送られたが、「(続投の意思は)もちろん」と打席の準備に入った。チームは今日にも、10年連続となるCS進出が決まる。「目の前の1試合1試合を」と内海。下克上を掲げ、最後まで挑み続ける。【久保賢吾】