全力ルーキーがプロ野球史に確かな足跡を残し、新人王をぐっと引き寄せた。楽天茂木が7回、右中間フェンス直撃の7号ランニング本塁打を放った。8月25日に続くシーズン2本のランニング弾は、92年川相(巨人)以来24年ぶりの記録となった。「ホームまで行けるとは思っていませんでしたが、クッションボールが転々としていたので、三塁コーチが止めるまでは全力で行こうと思っていました」。西武の外野が打球処理にもたつく間に一気にホームイン。息を切らしながら歓喜した。

 凡打でも、常に全力疾走の姿勢が本塁打を呼んだ。「守っていて、全力疾走する選手は嫌。自分もそうなりたいと思うんです」。1週間前、米村外野守備走塁コーチからも「残り試合も少ない。もう1度、凡打でも一塁までの全力疾走を大事にしよう」と訴えかけられた。高々と上がった打球がフェンスを直撃する瞬間には二塁を蹴っていた。

 「全力」の2文字に強いこだわりがある。「自分のような小さい体でもプロになって、1軍の試合に出られるところを子供たちに見せたいという思いがあります」。日本ハム高梨らとの新人王レースもかかる16年シーズンは、残り12試合。最後まで全力で走り抜く。【松本岳志】