あと1死で陥落のピンチを中村晃が救った。ソフトバンクが1点を追う9回2死一、二塁。オリックス守護神平野の低め151キロ直球を中前へゴロではじき返した。直球を狙っていた。「来た球を打つことだけを考えていた。アウトになったら終わり。みんながつないだチャンス。気持ちで打ちました」。センター駿太は極端な前進守備を敷いていたが、飯田三塁コーチは「勝負だと思った」と迷わず腕をグルグル。二塁走者今宮も「ウソッと思ったけど2死だったので」と一気に本塁へ。送球よりも先に同点のホームを踏んだ。

 中村晃の今季打率は2割8分。13年から3年連続3割を打っていることを考えれば物足りないかもしれないが、出塁率は4割1分1厘。過去4割を超えたシーズンはなく、今季のチームへの貢献度は高い。右手薬指を骨折して離脱した柳田に代わり、10日西武戦から6試合連続で3番を打つ。「打順は関係ない」と常に話すように打撃スタイルは変えず、6戦すべてで出塁している。

 「全部出たい」と目標にしてきたプロ初の全試合出場まであと10試合。明日からゲーム差0で日本ハムと直接対決に臨む。「いつも通りやるだけです」。いつも通りの中村晃ならやってくれるはずだ。【石橋隆雄】