日本ハムが4年ぶりのリーグ制覇を達成した。最大11・5ゲーム差からの大逆転。栗山英樹監督(55)は1-0の僅差、大谷の完封で優勝が決まった。

 感激の瞬間、栗山監督は目をうるませながらベンチを飛び出した。マウンドに向かう途中、選手1人1人としっかり抱き合って歓喜の輪に加わった。栗山監督は万感の思いを胸に8度胴上げで宙を舞った。

 「感動しました。ここまで頑張ってきて選手も勝ちたくて勝ちたくて緊張しているのが伝わってきた。早く勝たせてあげたいと思った。本当によくやってくれた」。142試合目の美酒だった。パ・リーグ全球団に勝ち越した。86勝53敗3分、勝率6割1分9厘は球団の最多勝、最高勝率を更新した。喜びもひとしおだった。

 就任5年目。12年に監督1年生としてリーグ制覇を果たしたが、翌年には球団12年ぶり、04年の北海道へ本拠地移転後は初めての最下位に沈んだ。その後、3位、2位と順位を上げ、今年は開幕前に「絶対に勝たなければいけないシーズン」と語気を強めて臨んでいた。その思いを最高の形で結実させた。

 球団新記録の15連勝を記録するなど華々しい大逆転劇だったが、道のりは思い通りではなかった。大谷が投手として開幕から5試合連続勝ち星なし。5月10日まで、ほぼ借金生活。15連勝が始まる6月19日までは貯金1桁で一進一退の状態が続いていた。

 投手陣の再編が転機の1つだった。6月20日に、不調だった昨季39セーブの守護神増井の出場選手登録を抹消した。代役に新外国人マーティンを配置。試合終盤の安定感を増した。その増井には6年ぶりの先発転向を打診した。7月8日、札幌ドームの監督室。「優勝するために先発をやってくれ」。救援で実績を積んできた右腕に一度は「無理です」と言われたが、「土下座してでもやってもらう」。覚悟が通算83セーブ右腕の心に響いた。

 その増井が立て続けにプロ初完投、初完封など先発ローテーションの一角を占めた。先発で不振だった吉川も9月から救援に配置転換。新人王有力候補の3年目高梨を6月に中継ぎから先発へ、チーム事情に応じてルーキー加藤、新外国人バースを先発、中継ぎの両方で起用した。適材適所、そして適時で投手陣を活性化させた。

 2月の米アリゾナキャンプに始まり、大谷のDH解除、投手で1番打者起用、投手陣の再編など挑戦を続けた16年シーズン。開幕連敗スタートから、リーグ頂点にたどり着いた。1月の日本ハム東京支社訪問時に「来年の今ごろに、去年は本当にやり尽くしたと言えるシーズンにしたい」と語っていた指揮官。まずはパ・リーグ優勝に力を尽くし、成し遂げた。