ヤクルトが、ウラディミール・バレンティン外野手(32)を来季の戦力構想から外していることが3日、分かった。3年契約最終年の今季は132試合に出場し、打率2割6分9厘、31本塁打、96打点。13年には60本塁打のプロ野球記録を樹立するなど実績は申し分ないが、守備力の低下、度重なる故障、高年俸などの点から残留は厳しい状況。退団となれば、争奪戦となることは必至だ。

 ヤクルトが、バレンティンを来季の戦力構想から外した。来日初年度の11年から3年連続で本塁打王を獲得し、6年間で5度も30本塁打以上を記録。今季は日米通算200本塁打も達成した燕の大砲だが、球団関係者は「来年のことは分からない。ちょっと厳しいかもしれない」と慎重な姿勢を見せた。

 打撃の好不調の波が激しい上、大事な場面で外野守備のミスを連発するなど不安要素が大きい。真中監督は日頃から「数字的には、助っ人外国人の数字を残している。でもディフェンス面を考えると、もう少し頑張ってほしいところ」と話していた。奥村編成部国際グループ部長もこの日「来日初年度は守備範囲も広かった。最近は肩も弱くなったし、バレンティンの前に打球が落ちると、コーチャーが迷いなく三塁(走者)を回す」と、守備力の低下を指摘する。

 故障がちな面も、要因の1つだ。昨季は左アキレスけん痛と、左太もも肉離れの手術の影響で、出場15試合で1本塁打に終わった。今季も開幕前に左脇腹の肉離れを発症するなど、シーズンを通しての貢献度が低いという見解。陽気な性格でチームを盛り上げる一方、練習に臨む姿勢など不真面目な態度が和を乱すと懸念する声も上がっている。

 高額年俸もネックとなっている。球団側はすでに、代理人を通じてバレンティン側と交渉を始めている。今季年俸はチームトップの3億6000万円(推定)だが、大幅減となる2億円程度を提示するとみられる。さらに通常、大物外国人に対して流出を避けるために結ぶ複数年ではなく、1年契約を提示している模様だ。

 バレンティンはこの日、成田空港から自宅のある米国に帰国した。かねて「日本で野球人生を終えたい。ヤクルトは居心地がいい。大好きなチーム」と残留を熱望していたが、関係者の話を総合すると、退団の可能性が極めて高そうだ。その場合、32歳とまだ若く実績十分なことから、争奪戦となることは間違いなさそうだ。

 ◆ウラディミール・バレンティン 1984年7月2日、オランダ領キュラソー島ウィレムスタット市生まれ。セントポールコーリションから00年、ドラフト外でマリナーズ入団。07年に大リーグ昇格。09年途中にレッズ移籍。大リーグ通算170試合で113安打、15本塁打、52打点、打率2割2分1厘。11年にヤクルトに入団すると、初年度から3年連続本塁打王。13年は日本記録のシーズン60本塁打で最優秀選手。12、13年ベストナイン。13、14年最高出塁率。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸3億6000万円。