西武が、昨季限りで現役を引退した球団本部編成部の西口文也氏(44)の入閣を検討していることが6日、分かった。ポストは2軍投手コーチが濃厚で、3年連続Bクラスの一因ともなった投手陣の底上げを、若手育成という形で担うことになる。投手を中心とした守りの野球を掲げる辻西武に、182勝を挙げた経験が加わることになりそうだ。

 低迷からの脱却へ、生え抜きの182勝右腕、西口氏に白羽の矢が立った。3年連続のBクラスに沈んだ今季はチーム打率2割6分4厘、619得点と、ともにリーグ2位の数字を残す一方で、チーム防御率は同4位の3・85。浮上には、投手陣の整備が不可欠となっている。中でも先発陣の強化が急務。ルーキー多和田が7勝を挙げたものの、岸、菊池に続く若手の台頭がなかったことも、順位に大きく響いた。

 球団は先発の底上げに向け、2軍体制の見直しに着手。投手コーチとして西口氏の入閣プランが浮上した。同氏は昨季の現役引退後、球団本部編成部に所属。1、2軍問わず、頻繁に球場に足を運び、選手とのコミュニケーションだけでなく、現状の課題も十分に把握出来ている。さらに、現役時代から兄貴分として後輩からの人望も厚く、育成・強化にはうってつけの存在といえる。

 また、コーチ修業の一環として、今年2月に韓国プロ野球のハンファ、3月には台湾プロ野球の統一でそれぞれ臨時コーチを務めてきた。その後も米国独立リーグでの研修を重ねるなど、異国で指導者経験を積みながら見聞を広げてきた。

 将来のリーダー候補としても期待される西口氏。その第1歩として、若手育成という立場で、辻新監督を支えていくことになりそうだ。

 ◆西口文也(にしぐち・ふみや)1972年(昭47)9月26日生まれ。和歌山市出身。県和歌山商-立正大を経て94年ドラフト3位で西武に入団。97年に最多勝、最多奪三振、最高勝率、MVP、沢村賞獲得でリーグ制覇に貢献した。98年最多勝、最多奪三振。9回2死からノーヒットノーランを逃したことが2度、延長10回に完全試合を逃したことが1度ある。15年に現役引退した。通算436試合182勝118敗6セーブ、防御率3・73。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。