プロ野球ドラフト会議が20日に都内で行われ、酒田南(山形)の石垣雅海内野手(3年)が中日から3位指名された。高校通算37本塁打を誇り、遠投100メートルの強肩に50メートル5秒9の3拍子をそろえる東北NO・1野手がプロで大暴れする。同じ東北出身の落合博満GM(62)の打撃指導を心待ちにし、掲げた目標はヤクルト山田。未来のトリプルスリー達成を誓った。

 午後6時21分、運命の時がやってきた。同席した鈴木剛監督(35)の携帯が鳴る。中日山本スカウトからの指名あいさつと分かった瞬間、校内がドッとわいた。石垣は喜びをかみしめながらも、神妙な顔つきで意気込みを語った。「指名されると言われていたけど、絶対はない。ホッとした気持ちでいっぱい。中日は練習がとても熱心。僕には合っている」。小3で野球を始めてからの夢をついに実現させた。

 心から感謝があふれ出た。「まずは家族に伝えたい」と切り出し、鈴木監督には「どんなに迷惑をかけても、面倒を見てくれてありがとうございました」と伝えた。その鈴木監督からは「努力することを嫌がらなかった。見えない努力も見える努力もした」とたたえられた。日々の打撃練習では、チームメートが近寄るのをためらうぐらいの鬼気迫る姿で自らを追い込んできた。その努力が実った。

 前日は午後11時に寝たが、朝4時に目覚めた。学校に行く前には神棚に手を合わせ、学生服の胸ポケットには部屋に飾っていた恩師からのはがきを忍ばせた。酒田三中軟式野球部の外部コーチを務めた本間勝男さんから中3の12月に送られたものだった。70歳になっても石垣を付きっきりで指導した恩師が昨年亡くなっていた。「天国で見守ってくれたと思う。プロに入るだけでは駄目。活躍して恩返ししたい」と誓った。

 夢が膨らむ。対戦したい投手には「165キロの大谷選手」と即答。同じ右の長距離砲の落合GMについては「素晴らしいバッター。機会があれば打撃理論をお聞きしたい」と弟子入りを志願した。目標については「まずは自分をしっかり磨いて、ヤクルト山田選手みたいになりたい」と目を輝かせた。3拍子そろった酒田産の原石が、名古屋でダイヤモンドになる。【高橋洋平】