「緩急王」になる! 阪神からドラフト2位指名された富士大・小野泰己投手(22)が25日、岩手・花巻市内の同大で指名あいさつを受けた。最速152キロルーキーは伸びやかな直球だけでなく超スローカーブも習得中。球界屈指の奥行きを手に入れ、プロの荒波をかいくぐる。

 「大学4年間で一番成長したストレートで押していきたい。藤川さんみたいな伸びのある、分かっていても打たれないストレートを投げられるようにしたい」

 早速、藤川球児への弟子入りを志願した右腕。自慢の直球を生かすも殺すも、ドロップカーブ次第かもしれない。最上級生で春季リーグを終えた直後からブルペン、オープン戦で約2カ月間磨きをかけてきた。

 「自分には緩急がないと思っていた。緩急があればストレートが生きてくる」。秋季リーグで本格的に使い始めると効果はてきめん。「カーブで打者のタイミングがズレて、真っすぐで空振りを取れるようになりました」と振り返る。

 神宮大会東北地区代表決定戦となった22日福島大戦は7回1失点、23日仙台大戦では1失点完投で勝利した。22日は最速152キロと92キロのカーブで緩急差60キロをマーク。一方、23日のカーブは102~106キロで推移した。まだ安定感に欠けるが、理想は「100キロ前後」だという。

 現在、ドロップカーブの使い手といえばソフトバンク武田が有名。その武田も150キロ前後の直球に対し、カーブは120キロ前後だ。イメージするなら、1990年代の中日エース格で150キロに迫る直球、そして100キロを切る超スローカーブが代名詞だった今中か。「やっぱり新人王を狙っていきたい」。メリハリの利いた出し入れから成り上がる。【佐井陽介】

 ◆小野泰己(おの・たいき)1994年(平6)5月30日、福岡・北九州市生まれ。大原小1年から野球を始め、上津役中で軟式野球部に所属。折尾愛真(福岡)ではプロ注目も、3年夏に右膝半月板を損傷。富士大では2年春からリーグ戦に登板し、通算12勝1敗、防御率0・85。今秋は5戦5勝の防御率0・45で最優秀選手賞を獲得。184センチ、75キロ。右投げ右打ち。