黒田で逆転日本一-。広島が28日、3連敗して王手をかけられた敵地札幌からチャーター機で広島に戻った。今季での引退を表明している黒田博樹投手(41)は、あす第7戦を信じ、マツダスタジアムで先発調整。今日29日、第6戦に先発する野村祐輔投手(27)は「勝って第7戦をやる」と、黒田へつなぐ決意で必勝を誓った。

 覚悟を決めた黒田は、雨も気にせず黙々と調整した。日本ハムに王手をかけられ、逆転日本一のためにはもう負けられない。天候とは違い、はっきりしている。勝つしかない-。まずはチームメートを信じて、先発予定の7戦目を待つ。

 前日27日にチームを離れ、広島に戻ってきた。王手をかけて仲間が帰って来ることを信じて待ったが、まさかの敵地3連敗。だが、黒田は前を向く。「日本一になるためにやってきた。札幌で決めるのも良かったけど、こうなった以上はチームとして奮起して。2連勝しかないので、みんなで力を合わせてそういう形にできればいい」。現役最後の登板が、日本一をかけたマウンドになれば、死力を振り絞る覚悟だ。

 第3戦の日本シリーズ初先発では、6回途中に両足がつり緊急降板となった。シーズン中から首のしびれや右肩痛で離脱するなど、満身創痍(そうい)に変わりはない。それでも登板翌日から調整を再開し、中4日での7戦目を見据えた。「マウンドに上がるようなことがあれば、しっかり準備して最高のパフォーマンスを出したい」。調整期間内のブルペン投球はせず、今日の第6戦もブルペン入りせずに最後のマウンドに備える。

 黒田にバトンをつなげるためには、今日の勝利が絶対条件。第2戦で6回2安打1失点と好投した野村が望みをつなげる。「勝たないといけないので。必ず勝って第7戦をしないと、うちの日本一はない」。偉大な先輩は尊敬する存在であり、投球の師。黒田のために、という思いは野村だけではないだろう。

 真っ赤に染まる本拠地が、逆転日本一の舞台となる。今季マツダスタジアムでは勝率7割を超える。黒田は「ほぼカープファンの応援になるので、僕らにとってのアドバンテージになる」と言い切る。マウンドに上がる黒田の姿を見るまで、終わらせるわけにはいかない。【前原淳】

 ◆野村のマツダスタジアム成績 今季は公式戦8勝1敗、ポストシーズンでも2勝0敗(CSファイナルステージ、日本シリーズで各1勝)で計10勝1敗(勝率9割9厘)。9月8日中日戦からは5戦5勝。最近4試合では自責点がない。野村はシリーズ第2戦の他に6月9日札幌ドームでの交流戦でも日本ハムに6回無失点で勝っており、今季の日本ハム戦は12回を投げ1失点(自責点0)で防御率ゼロ。