侍ジャパンの課題があらわになった。メキシコとの強化試合で完敗。打線は小久保裕紀監督(45)がポイントに挙げていた筒香の後で起用された内川を筆頭に下位打線が凡退を繰り返して流れをつかめず。投手陣もWBC本番を見据えて第2先発で起用された千賀が3失点、9回を託された山崎康も3点を失った。土の違いへの対応など王座奪還へ課題が山積だ。

 小久保監督は試合後の会見で正面を見据えたまま、敗戦を受け止めた。勝ちにこだわると宣言して臨んだメキシコ戦でまさかの完敗。「1回に追加点を奪えず、有利な展開に持っていけなかった。(2番手の)千賀は少し制球に苦しんでシーズン中のような投球ができなかったかなと思う」と振り返った。

 試合前に挙げていたポイントが図らずも的中してしまった。「大事なのは1番。あとは、筒香の後の打者。今日は内川です」。1回1死満塁で5番筒香が押し出し四球を選び先制。なお満塁の絶好機で6番DHで起用された内川は二ゴロ併殺に倒れた。3回も2死満塁で外角の緩い変化球を見逃し三振。内川について指揮官は「ミートがうまいということで起用した」と説明したが、狙い通りとはいかなかった。

 失点の形も悪かった。2番手の千賀は5回2死走者なしから本塁打を献上。6回は2四球からピンチを招いて適時打を許した。球数制限のあるWBCでは重要な役割を持つ第2先発。小久保監督は「ストライクとボールがはっきりしていた。変化球もある程度はストライクを取れないといけない」と指摘した。守護神候補の山崎康も9回に4安打と押し出し死球で3失点。ともにWBC公式球への順応が課題となった。

 土への対応も必要となる。今回はマウンド、打席、アンツーカーの土を従来の日本産からカナダ産の赤い粘土質のものに入れ替えた。3回無死一塁で秋山の投ゴロで二塁に滑り込んだ坂本は、本来のスライディングができず、ベース手前でスピードを殺されアウトとなった。本番を見据えると、投手陣のマウンド対応だけでなく、走塁面のアジャストも不可欠になる。

 小久保監督は今日11日の同戦も4番中田の起用と、5番筒香の後は坂本に託すことを明言した。「本番前、最後の外国との強化試合。勝ちを意識し、貴重な経験にする」と位置付ける今回の強化試合。選手の力を見極めながら、課題の洗い出しと修正に全力を傾ける。【佐竹実】