超満点キャンプや! 阪神が16日、高知・安芸での秋季キャンプを打ち上げ、金本知憲監督(48)が若虎軍団を絶賛した。16日間の猛練習に耐えたナインを「僕より数段強い」と評価。キャンプの点数を「満点」とまで言い切った。1492試合連続フルイニング出場の世界記録を持つ指揮官が驚く心、肉体の集合体が誕生。打倒広島へ、来季はかなり期待できそうだ。

 元祖鉄人が心底、驚いていた。指揮官は「今の選手、(体が)強くなっていますよ。僕より数段強い」とうれしそうに笑った。秋季キャンプ打ち上げ直後の昼下がり。計16日間の点数を問われ、即答した。

 「オレは満点だと思う」

 地獄のキャンプを地でいった。野手は朝9時15分から練習開始。安芸ドームで連続ティー打撃を10本×40セットを行う組、ウエートトレーニング組に分かれて、いきなり体をいじめ抜く。全体練習後にも特打、特守、ウエートトレの嵐だ。毎日最低1000スイングがノルマ。午後7時までバットを振り続ける選手もいた。皆、皮がむけた両手はテーピングでグルグル巻き。それでもキャンプ離脱者は最後まで現れなかった。

 「少々ケガ人が出てもいいのかなと。それぐらい追い込んでやろうということだった。(離脱者が)出てもおかしくないと思っていた。全員よくついてきた。彼らも心の準備があったと思う。ここで離脱したら来年の春のキャンプもないと分かっているだろうし」

 キャンプMVPは特定の名前を口にしなかった。猛練習に食らいついた全員がMVPという感情がうれしい。キャンプ終了直後、右翼外野芝生上のミーティングでは右手の高さを上下させながら熱く訴えた。

 「(右手を物差しに)ここまで来ている。オフに休んだら(手を腰まで下げ)ここに戻る。ここが分岐点。オフにしっかりやれば2月1日(頭の上に手を上げて)ここからできる。目指すのはここ。オッケー?」

 すべては来季栄冠を勝ち取るためだ。優勝した広島は猛練習で知られる。そのチームを倒すには、「広島以上の練習をしないといけない」覚悟でキャンプに臨んだ。手応えを感じるからこそ喜びを隠さなかった。

 「本当によくついてきてくれた。よくやった。本当に本心。腹からそう思う」

 そして、満足顔のまま注文も忘れなかった。

 「せっかく伸びてきたのもオフに遊べばゼロになる。同じようなトレーニングを続けていると、さらに上積みがある。ゼロか倍か」

 首脳陣と選手が妥協なく、ぶつかり合う金本阪神2年目。猛練習の成果を生かして、頂点をつかみ取る。【佐井陽介】

 ◆阪神監督のキャンプ採点 今回のように「満点」と断言するのは異例だ。今春の宜野座キャンプ打ち上げで、金本監督は「若手は最後の2週間まで鍛えていく。気が緩まないメニューを」と慎重な姿勢を強調した。前任の和田豊監督は、就任1年目の12年春に「満足することはあり得ない。80点から90点」。その前の真弓明信監督は、初年度09年春の安芸2次キャンプ最終日に「若い投手が力通り投げた」と1次キャンプから10点プラスしたが、それでも評価は「80点」。引き締めを図る発言が目立っていた。ナインが発揮した予想以上の成果に、金本監督の満足度がうかがえる。