筒香節に3億円の喜びはなかった。DeNA筒香嘉智外野手(25)が1日、横浜市内の球団事務所で契約更改。「3億です。気持ちよくサインさせていただきました」。今季年俸から2億円アップの高評価に笑顔で感謝しながらも会見後の写真撮影では「(パフォーマンスは)何もしません。ポーズもしません」。浮かれた様子は一切なし。約20分のスピード交渉を終え、日本一への思いが口を突く。

 「お金よりも大事なものはたくさんある。来年に向けてすでに始まっている。お金よりも野球のことを今は考えている」

 110打点、44本塁打の2冠獲得に、3年連続打率3割超えの継続した結果を高く評価された。「プロ野球選手は数字に責任を持つことは大事。でももう終わったこと。終わったことに興味がない」。来季期待がかかる首位打者を含めた3冠にも「あんまり興味がない」。心にあるのは「チームを優勝させることができる4番でありたい、主将でありたい。優勝させることができる選手でありたい」という思いだけだ。

 来季は3月に侍ジャパンの4番として挑むWBCから幕を開ける。日本一と世界一を頭に描く筒香にとって、チームの日本人野手歴代最高額を受けても過去のもの。オフは関西地区で“山ごもり”特訓の予定で「(テーマは)自分の能力を上げること。12月、1月はまったく休みなしで、調整は変わりなくやる」と無休宣言。まだ道半ばの頂点を見据えた。(金額は推定)【栗田成芳】