当初は不振が続き不安に襲われた。見かねた捕手のバスケスから「野球って難しいスポーツだろ? 考え過ぎて、お前はもっと難しくしてしまっている」と指摘された。続けて「日本のドラフト1位として堂々とプレーしていい」。半信半疑の心中を見透かされた。

 岡本は「シーズン中も同じだった。勝手に難しく考えて打席を無駄にしていた。評価、結果にとらわれ過ぎていた。野球そのものだけを真っすぐに考えたのは中学生以来かもしれない」と気づいた。思考を止めたわけではなく、自分主導で考えるようになった。

 「周りからどう見られるかではなく、単純に野球がうまくなりたい。プロに入る前の感覚を思い出してきた」。不安げな表情はない。世間から騒がれた“怪童”としてではなく、純粋に野球選手として着実で大きな1歩を実感している。