日陰育ちの逸材が、開花した。プロ3年目の日本ハム高梨裕稔投手(25)が、新人王を獲得し激動の1年を締めくくった。今季は中継ぎ要員でプロ初の開幕1軍入りを果たし、交流戦の途中で先発に転向。140キロ台の球速以上にキレのある直球と、落差抜群のフォークなどの変化球で打者を揺さぶった。ソフトバンクとの天王山に抜てきされるなどローテーションの一角に定着し、先発14試合で8勝0敗。鮮烈に駆け抜け、10勝を挙げる活躍を見せた。

 晴れ舞台への道を、地道に切り開いてきた。1年目はイースタンリーグで1勝8敗、防御率4・90。同期入団8選手の中で唯一、1軍登板はなかった。2年目にデビューも先発で4回途中4失点の初黒星。「あの時があるから、今がある」と、悔しさを力に変えてきた。

 恩師の存在が、活躍の下地にある。15年に亡くなった山梨学院大の元監督で、日本ハムOB高橋一三氏からプロの心得を学んだ。「プロでは先発で活躍出来る」と潜在能力を期待され、二人三脚で歩んできた。高梨は「マウンドにいるときは、いつも一三さんがいる」。天高き場所からのエールも受け、来季の飛躍を目指す。【日本ハム担当=田中彩友美】