強敵丸裸でセ界制圧! オリックスからFA宣言して新加入した阪神糸井嘉男外野手(35)に、セ・リーグ投手の投球映像集が渡されていることが5日、分かった。今季はプロ14年目で初めてセ・リーグが主戦場。各球団の先発や守護神を網羅したDVDで、予習の“教材”としてはうってつけだろう。広島ジョンソン、巨人菅野、ヤクルト山中…。糸井さん、天敵退治、頼んまっせ!!

 金本阪神2年目の逆襲に向けて、抜かりなく準備する。この日の年賀式で、四藤球団社長が「みんなでバックアップしていくことが我々の夢の実現の大きな基盤になってくる」と年頭のあいさつ。その言葉通り、新戦力の糸井に対しても強力なサポート態勢を敷く。

 パ・リーグ投手陣を震え上がらせてきた糸井だが、セ・リーグ初体験だけにまずは敵を熟知することが重要なポイント。そこで、球団スコアラー陣はすでにセ・リーグ他球団の投手映像DVD集を作製。その“マル秘”情報を糸井に手渡していることが判明した。球団関係者も「幅広く投手の映像をまとめたもの。いまは交流戦もあるから、分かっている部分も多いと思うけど、あるに越したことはない。自分でも調べられる時代だけど、まとめたものは便利だからね」と説明。ライバル5球団の先発からセットアッパー、守護神たちの投球を網羅した“教材”だ。

 チームは昨季4位に終わったが、その一因となったのが天敵の多さ。宿敵巨人には田口に5勝を許したのを筆頭に、エース菅野、内海にも苦しめられた。先発陣だけでなく、マシソンにも16試合で防御率1・40と圧倒された。他球団を見ても、下手投げ右腕のヤクルト山中や守護神秋吉、広島ジョンソンの名が挙がる。糸井は対戦が少なく、格好のDVDになるのは間違いない。刺客として期待は大きく、球団もフォロー態勢を整えている。

 野手に転向後、10年間で打率3割以上のシーズンが7度。好打者に成長したこの数字こそ、糸井の研究心を物語る。もちろん、ライバルの「糸井包囲網」をぶち破らないといけない。中日大野が「そこ打つんだというところも打たれる」と言えば、巨人高橋監督も「あれだけ打って走れるから、いろいろ考えないといけないことが出てくる」と警戒心をにじませる。この日は自主トレ先のグアムへ出国。頂点に立つために体を鍛え抜き、そして、敵の弱点を徹底的に暴く。

 ◆阪神昨季の主な苦手投手 田口(巨人)には5勝(0敗)を献上。これを含め、田口先発の6試合で阪神は全敗した。4試合対戦した菅野(巨人)に許したのは2勝(1敗)だが、対戦防御率は0・60。30イニングで0本塁打と封じ込められ、32三振を重ねた。5試合対戦したジョンソン(広島)にも3勝(1敗)を挙げられ、対戦打率1割9分7厘は規定投球回セ到達投手相手では最低だった。また、下手投げの山中(ヤクルト)と6試合対戦し3勝(1敗)され、防御率1・49と好投を許した。