日本ハム大谷翔平投手(22)が新たな「無」で世界一を目指す。6日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で自主トレを公開。3月に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が控える17年のテーマを「無」とした。昨年12月にシーズンを振り返り「まだ何も達成してない」と選んだ漢字と同じだが、意味合いは「無心」「無欲」と説明。まずはWBCでの世界一奪還に照準を定め、調整を進める。

 年が明けても、同じ文字が脳裏に浮かんだ。千葉・鎌ケ谷で自主トレを公開した大谷が、色紙にペンを走らせた。WBCが控える今年の抱負を漢字1文字で、と問われて書いたのは「無」だった。その心は「特に無い…」と冗談めかしながら、続けて真意を明かした。

 「無心で頑張りたい。シーズンを通して無駄な欲はいらないと思う。欲があるのは良いことだと思うけど無駄なこともある。1試合1試合、一生懸命しっかり頑張れればと思います」

 昨年12月12日、漢字の日に昨季を振り返った漢字1文字も「無」だった。自身初のリーグMVPに輝きながらも「まだ何も達成してない」と選んだ。今回は、全く意味合いが違う。「もっと、うまくなりたい。それしか考えていない」と、雑念を払って大好きな野球に打ち込むことを5年目のテーマとした。

 無心で、無欲で、まず取りかかるのは世界一奪還だ。自身初めてのWBCがシーズン開幕前の大目標になる。12月は肉体強化をメインとしてきた調整は「ここからじゃないですか。量も増えてくると思う」。ブルペンでの本格投球も1月中に解禁予定。昨オフの同時期は、ブルペンに入っても強度に制限をかけていたが「球数も強度(の上げ方)も早くなる」と、今後は遠投での地ならしを挟んでペースアップしていく。

 3月7日、WBC1次ラウンド初戦のキューバ戦で先発マウンドが託される。現状の仕上がりを問われ「10%くらい」と答えたが「あと2カ月くらいある」と、残された時間でWBC球への対応、野手出場へ向けた準備にも自信を見せた。連続日本一のかかるシーズンも待っているが「今はWBCにしっかり合わせていきたい」。この日も室内練習場で黙々と1人で打撃練習を約1時間、続けて約30分間のネットスローで投球フォームを確認した。無の境地で、大舞台へ備える。【木下大輔】