打者封じの願いを込めて、タコで験担ぎ? 育成1位で巨人に入団した高井俊投手(21=BCリーグ新潟)が6日、ジャイアンツ寮(神奈川・川崎市)に入寮した。調理師専門学校出身の経歴を持つ異色ルーキーは、調理師免許を持参して入寮。年越しで家族に最後の手料理を振る舞い、プロ入りへの決意を新たにした。

 「マイ包丁」は封印し、野球道に専念する。高井は午前11時15分過ぎ、トランクなど手荷物3つを抱え、新人15人の中3番目に入寮。約30人の報道陣が陣取った玄関横のロビーで、真っ先に取材を受けた。「地元を離れることに寂しさがありました。でも新しい年を迎え、新しい場所に入って、今は『やってやる』という前向きな気持ちでいっぱいです」と目を輝かした。

 東北高(宮城)を卒業後、悠久山調理師専門学校(長岡市)で学んだ腕前を生かし、昨年12月31日の大みそかに、縁起物のタイなどをさばいて豪華な舟盛りを家族に振る舞った。「自分は好きなタコばかり食べていました」。打者が凡退したときの隠語「タコ」にかけて、好物で1年を食べ納めた。キャベツを千切りにする際に包丁で左手の指を切るアクシデントも軽傷に胸をなで下ろし、「久しぶりで腕が鈍っていた。恥ずかしくて情けなかった」と苦笑い。ただ入寮後は、野球に専念の決意を込めて、しばらく大好きな料理を封印する。この日も調理師免許だけを持参して、使い慣れた包丁などの調理用具は持ち込まなかった。

 トレーニングは年末年始も休まず続けた。同26日まで新潟の自主練習に合流し、「常に体を動かしていたいタイプなので」と、以降は入寮前日まで見附市の自宅周辺でランニングと体幹を鍛えるメニューを黙々とこなした。入寮にあたっての悩みは、新たなリラックス方法探し。「何も考えず、1人でボーッとしているのがリラックスタイムだった」という入浴が大浴場になるため、「読書は好きじゃないし、他の方法を探します」と新環境への適応力も求められていく。

 9日には、ファーム施設のあるジャイアンツ球場で新人合同自主トレがスタートする。「スピードボールに磨きをかけて、(最速152キロから)150キロ後半のボールを投げられるようにしたい」と1年目の誓いを立てた。【中島正好】