プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月6日付紙面を振り返ります。1995年の3面(東京版)はロッテキャンプUFO来襲「西武の偵察機か」でした。

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【米アリゾナ州ピオリア1995年2月4日(日本時間5日)】ロッテキャンプ地で、UFO(未確認飛行物体)騒動が持ち上がった。練習中、グラウンドの北西上空にUFOらしき物体が飛行しているのを発見。バレンタイン監督以下ナインが騒然となる場面があった。「だんだん小さくなって銀色に輝いた」などカンカンガクガクの議論が展開され、厳しい練習に明け暮れるグラウンドに不思議な雰囲気が漂った。今年のロッテは何かやりそうな予感だ。

 「What,s that?」。UFOを最初に発見したのは、ほかならぬバレンタイン監督だった。午前11時55分ごろ。4面の練習グラウンドを見届けることができる管制塔から指揮していた同監督が突然、西上空を指さして声を上げた。突然の驚きの声に、大慈彌(おおじみ)通訳が「なんだ、あれは!」と思わず直訳。ちょうど、練習が一区切りついたタイミングとも重なって、このひと言で一気に騒動となった。

 バレンタイン監督が指さす方向を見て、続いて発見したのは2メートル8センチの長身ヒルマン。こうなると後は、「どこ、どこ?」の声ばかり。4面に散っていたグラウンドから選手、コーチが集まってきた。

 見つけた人が増えるたびに指をさす人が増え、バレンタイン監督の周りはとうとう100人近い人だかりに。「見えた見えた、最初に見えたときは丸かったね。だんだん小さくなっちゃったけど、銀色に輝いていた」(愛甲)、「見えなかった。残念。どうしてみんなは見えるの」(初芝)など、5分間しかないランチタイムそっちのけで、UFO騒ぎが繰り広げられた。テントの中で食事をしていた広岡GM(ゼネラルマネジャー)も、あまりの盛り上がりに、初めは「違うだろ」とつぶやいていたが、すき間からチラチラ。「見えなかった。ワシは自分の打ったゴルフの球も見えないもんだから」と残念そうに? 苦笑した。

 UFOと思われる物体は、白や銀色に輝きながらグラウンドから見て西方向から北へスーッと飛び、5分ほど静止した後、突然消えた。

 距離があるため、ハッキリと円盤の形を確認できたものはいない。同じ敷地内でキャンプを張る中日関係者は気付かなかったという。キャンプ地アリゾナ州の隣にあるネバダ州は、発見者が多いUFOの「メッカ」として知られるだけに出現の可能性は十分。

 この騒動に、バレンタイン監督のセリフがシャレていた。「ロッテが、サインプレーの練習をしていたから、西武が偵察機を飛ばしたんだよ」。めったに発見できないUFOで盛り上がるなんて、21年ぶりの優勝を目指すいい前兆? 今年のロッテには、何かが起こりそう。

 ◆UFO話題メモ 1990年(平2)にはイギリス南部に巨大なミステリーサークルが出現。中心部分が直径32メートルもあるリングのようなサークルに、人間がつくれるものではないと判断され、宇宙人=UFO説が飛び出した。同年9月には日本でも発見された。福岡県粕屋郡篠栗町和田の水田に、直径約18メートルのサークルが出現。91年5月には山梨県中巨摩郡敷島町の牧草地にもサークルが出現し、話題となった。また同年8月には歌手の南こうせつが、熊本県三井グリーンガーデンでの野外コンサート中に、UFOを目撃。2万人のファンもそれに気付き、コンサートは一時中断された。

 ◆UFOとは unidentified flying objectの略。未確認飛行物体。目撃者はいるが、その存在は科学的に立証されていないものをいう。空飛ぶ円盤。日本では矢追純一氏が、その存在を確信し、あらゆる角度から研究している。

※記録と表記は当時のもの