西武牧田和久投手(32)が22日、ドラフト1位・今井達也投手(18=作新学院)ら有望新人に「新人王への5カ条」を示した。2月の春季A班(1軍)キャンプに、牧田のルーキーイヤー(11年)以来となる新人4人の帯同が決まっている。侍ジャパンの一員として2回目のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場も控える兄貴分は、11年の自身以来出ていない、西武からの新人王獲得を求めた。

 暖かな日差しが照らす、午前9時の西武第2球場。牧田は山田相手に、WBC公式球でキャッチボールした。「いくよ、ツーシーム」。ボール表面の滑りやすさを逆手に取った球種を試すたび、鋭い変化に受け手の腰が引けた。山田は「捕り損ねてスネに当たりそう」とギブアップ。牧田は「もう終わり?」と笑った。

 早くもWBC公式球を思いのままに操る。打者との駆け引きも含め、投球術は国内屈指。ドラ1今井も「話をうかがいたい」と師事を熱望するが、牧田は「うーん、投球術を伝えるのはどうですかね」と言う。

 牧田 まずは自分の力をはかる上でも、投球術に頼らず勝負してみてほしい。結果が出始めれば相手に研究される。その時にイヤでも投球術が必要になる。それからにした方が、長くコンスタントに活躍できる。

 この「(1)投球術に頼るな」を皮切りに、牧田はアドバイスを列挙した。

 「(2)ブルペンでアピールするな」。ブルペンで「速い」「勢いがある」と目を引く球が、必ず試合で通用するわけではない。目立とうと思うより、思ったコースに思った球筋で投げられるよう、技術、感覚を磨くべき。それがいずれ実戦でのアピールにつながる。

 「(3)痛い時に我慢するな」。若手はケガを隠しがち。だがケガを悪化させては本末転倒。ケガ発生はコーチ陣、メディカルスタッフも困らせることも忘れず。

 「(4)感謝、敬意を忘れるな」。新人王獲得当時を振り返り「他の個人タイトルと違い、自分の力だけで取れるものじゃない」と断言する。先輩への感謝、敬意は巡り巡って、守備や打撃での援護につながる。

 そして最後に「(5)仕事場にこだわるな」と強調した。「望む仕事ができるとは限らないのは、社会人と同じ。その中で自分にあった仕事に巡り合うこともある」。牧田本人もプロ1年目途中急きょ抑えを任され、それがブレークにつながった。侍ジャパンでの役割は分からないが、どこでも前向きに受け入れる。最後の1カ条の大事さを、世界の舞台で示す。【塩畑大輔】