「マー君フォーク」でプロの世界を生き抜く。楽天ドラフト1位の藤平尚真投手(18=横浜)が27日、仙台市の泉球場で新人合同自主トレ最終日にブルペン入りした。25日に行われたヤンキース田中将大投手(28)の講義をきっかけに、挑戦を始めたフォークを披露。先輩の投球映像を独学で研究し、発見した握りを早く自分の武器としてみせる。

 「次、フォークいきます」。笑顔の藤平は、指を広げて宣言した。バッテリーを組んだ横山ブルペン捕手から「まだ勉強中なんだから、思い切って」と背中を押された。室内練習場が、静寂に包まれる。打撃練習中だった他の新人選手が手を止めた。食い入るように見つめた球の軌道は、鋭く縦に落ちた。

 大先輩の言葉がきっかけで、練習を始めた。25日に田中の講義を受講した。「直伝のフォークではないんですけど…。話を聞く中で、自分も武器になるものが必要だと感じた。高校生相手には、直球とスライダーとシンカーで勝負出来ていた。一流の打者には、1つでも多くの選択肢があるといい」。映像で田中のフォークを研究した。高校時代もフォークを試すことはあったが、軸となる球種ではなかった。前日26日には、練習後に約3時間も動画を見つめたという。

 握りの場面を凝視し、人さし指と中指の根元まで深くボールを食い込ませた。特徴は、人さし指をボールの縫い目にかけ、比重を置いた点。無回転の軌道ではなく、ツーシームのように沈みながら落ちる回転を意識した。「スプリットとフォークの中間みたいなイメージですね。田中さんみたいな球速が出ればいいですけど、それはまだまだ」と言いながら、横山ブルペン捕手を「投げ始めてすぐにこの落ち方、軌道はすごい」と、うならせた。

 新人合同自主トレは、この日で終了。休む暇もなく、春季キャンプが始まる。1軍メンバーに決定した藤平。「ストレートは一番意識するもの。その上でフォーク、スライダー、シンカーを自分の軸となる武器にしていきたい」と、目を輝かせた。【栗田尚樹】