「いいとこ取りキャンプ」に出発だ! ヤクルトのドラフト1位、寺島成輝投手(18=履正社)が29日、ブルペン投球なしで約3週間の新人合同自主トレを打ち上げた。今年のドラフト1位投手10人のうち、1度も投球練習しなかったのは寺島だけ。「ゆっくりでいいと言われてるし、周りは関係ない。焦りもないです」。異例のスロー調整にも、平常心でキャンプに臨む。

 未来のエース候補は、球団の明確な意図のもとに1軍に同行する。小川SDは「彼の場合は長期的なスパンで成長曲線をみている。育成の面はあるし、1軍の環境に触れる、慣れるという経験の面もある。とにかく段階を踏むということ」。これまでは基本的に高卒新人は2軍スタートだったが、あえて1軍に置くメリットを強調した。

 <1>順調な育成 無理をしてペースを上げないよう、寺島には練習量を減らすなど一部別メニューが組まれる。真中監督やコーチの目も行き届く。昨年の新人では2軍スタートの高橋が6月に左肩痛で離脱し、ジュリアスも8月に左肘を手術。毎年ケガ人に悩まされてきた教訓を生かす意味合いもある。

 <2>1軍の空気、雰囲気から感じ取る この日、寺島は「プロの実感はあまりない。ファンサービスをしている時くらいですね」と話した。先輩や大勢のファン、報道陣に見られながら練習することで、より自覚が芽生える。先輩の姿を見て、学ぶことも多い。小川SDは「育成プログラムの1つの考え方にできれば」と来季以降の好例をつくりたい意向も示した。

 寺島は今日30日に沖縄入りし、早ければ第1クールにブルペン入りする。「ユニホームを着るのが楽しみ」。高校NO・1左腕が、ベールを脱ぐ日は近い。【鹿野雄太】