こんな別メニュー調整、見たことない!? 右膝関節炎の阪神糸井嘉男外野手(35)が1日、「超」別メニューの異例キャンプインだ。タテジマの背番号7で初めて沖縄・宜野座に降り立つと、球場滞在30分間でプールトレーニングに出発。球場に戻り、専用の特別メニューに取り組んだ。ほぼ座った状態ながら、トス打撃で130スイングを披露。本人がめどにした2月中旬の復帰に向け、力強く発進した。

 周囲がポカンとなった。新天地でのキャンプ初日。球場で行われた歓迎セレモニーに参加した糸井は、10分後にはユニホームから青いトレーニングウエアに着替えて球場横に現れた。横付けされた黒いワンボックスのタクシーに乗り込み、「行ってきま~す!」。滞在30分でキャンプ地を後に…と思われたが、行き先はプールトレーニングができる近くの温泉施設だった。

 約1時間後、球場に戻ってからも、右膝関節炎の大事を取り、別メニュー調整が続いた。ただこの別メニュー、ただの別メニューじゃない!? 宜野座ドーム内でチューブを使った体幹トレーニングに励むと、最長20メートルのキャッチボール。オリックス時代から顔見知りの本屋敷トレーナーが付きっきりで、専用の「糸井メニュー」が、分刻みに進められた。

 患部の回復は順調のようだ。キャンプ前日の1月31日には「2月中盤」と復帰プランを明言した。この日はさっそく、バットも握った。バランスボールに座ったままのトス打撃を実施。右手で30スイング、左手で20スイング、両手で75スイング…。最後は立ち上がって5スイングした。少しだけ、右足を上げて踏み込んだ。

 糸井は「(バットは)前から振ってるよ。まだまだ全然」と冷静に話すが、さすがに注目度は今キャンプNO・1。練習の合間には自ら進んで即席サイン会を開いた。それも2度。約70人のファンが詰めかけて列をつくった。背番号7が動けば、ファンも、報道陣も追いかける。別メニューであってもそれは同じか、それ以上の盛り上がり。「糸井狂想曲」はこれからも続きそうだ。【桝井聡】