中日の新外国人のエルビス・アラウホ投手(25=フィリーズ)が3日、沖縄・北谷キャンプで広島ジョンソンばりの切れ込みスライダーをアピールした。

 あれは誰だ? 背番号「99」の大男の登場にブルペンがざわついた。第2ボタンまで開けられたユニホームは、はち切れんばかりだ。身長2メートル、体重125キロのアラウホが、ユニホームを忘れるハプニング。急きょ183センチ、88キロのジョーダンに戦闘服を借りたが、明らかに小さい。だが窮屈さを苦にすることなく快投を続けた。

 背番号99は密着マークする他球団のスコアラーへのかく乱作戦ではなかった。アラウホは「ホテルに忘れてきてしまった。もうこんなことはしないよ」と苦笑い。確かに、これほどの大男は巨人という意味の「ヒガンテ」というニックネームのアラウホしかいない。投球でも存在感を示した。

 アクシデントで注目は集まったが、誰よりもブルペンで目線を集めた。まだ100%ではない仕上がりだが得意のスライダーは、捕手の松井雅が2度捕り損ねるほど鋭く曲がった。アラウホは「真っすぐの次にスライダーは自信がある。カウントも取れるし、三振も取れる」と胸を張った。宿舎の自室のトイレで3度頭をぶつけたという大きな体の持ち主だが、制球力もあり技巧派な一面を持つ。

 初めてバッテリーを組んだ松井雅は「横にしろ、縦にしろ角度がある。スライダーはキュッと曲がる。空振りが取れたら大きい」と証言。目を光らせた他球団の007もその威力に戦々恐々だ。「うちのジョンソンに近いイメージ」と評する広島田中スコアラーは、「あのスライダーが右打者の足元にきたら苦になる」と分析した。

 昨年守護神を務めた田島が頭1つリードするが、アラウホも抑え候補の1人。森監督は「打者に近いところで曲がるから捕手も捕りにくいんじゃないか。だから打者も打ちにくい。悩むような争いになってくれればいい」とニヤリ。竜の巨人がマウンドでさらに注目を浴びそうだ。【宮崎えり子】

 ◆エルビス・アラウホ 1991年7月15日、ベネズエラ生まれ。07年にインディアンスと契約。14年オフにフィリーズ移籍。15年5月にメジャーデビューし初勝利。同年40試合、16年は32試合に登板。11月にマーリンズに移籍。アニメ「ドラゴンボール」好き。左投げ左打ち。年俸8000万円、背番号49。