プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月9日付紙面を振り返ります。2015年の1面は、楽天松井が日本代表の小久保裕紀監督から招集を打診され、大久保監督が快諾したことを報じています。

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 マー君を追え! 楽天松井裕樹投手(19)が8日、初の「フル代表」に当確ランプがともった。久米島キャンプを訪れた日本代表の小久保裕紀監督(43)から招集を打診され、楽天大久保監督が快諾した。弱冠19歳での侍ジャパン選出となれば、チームの先輩でもあるヤンキース田中将大投手(26)以来の快挙。3月10、11日に行われる侍ジャパン対欧州代表(東京ドーム)で、高校ジャパン以来の日の丸ユニホームでマウンドに上がる。

 海からの寒風が吹く久米島球場で、2人の監督がホットな会話を交わした。大久保監督が「(投手は)誰を考えているの」という直球質問に、小久保監督は「松井(裕)君はどうですか?」と即答。大久保監督の返答は「どうぞ、どうぞ」という二つ返事だった。

 大久保監督にすれば、次代を担う左腕エースの成長を促し、さらなる飛躍も期待できる。「若いうちに日の丸を背負う。いい経験になるでしょう」。ただ、1つだけ条件を付けた。起用法だ。チームの中で先発、もしくは救援かを検証段階であることを明かした。「正式に決まった時には、どういう起用になるのか連携をとっていきたい」と付け加えた。

 小久保監督の期待も大きかった。「昨年は注目の中でいい経験をした。今年は大きな飛躍の年。安楽のようなビッグルーキーが入ってきて刺激にもなっているでしょう」。6日に発表されたコーチングスタッフと相談し、早めに正式要請を行い、発表したい意向だ。

 松井裕もアピールの機会をうかがっていた。小久保監督のこの日のキャンプ訪問に合わせ、調整を進めてきた。しかし、ブルペンに入ったのは、空港へ急ぐ同監督が球場を離れた直後。「ピッチングの時におられなくて残念でした」と気落ちしたが、9日に初実戦となる打撃投手登板に向け、26球を投げ込んだ。

 2年目の経験が生きている。自主トレでは下半身を鍛えた成果が、フォームにいいバランスをもたらしている。何より精神的な変化が大きい。「去年は見られているプレッシャーがありました。チームにも慣れて、野球に集中できるようになった」。小久保監督も証言したように、心に余裕が生まれて、ルーキー安楽智大投手(18=済美)の教育係も進んで受けている。

 桐光学園3年時にはU18で日の丸を背負った。その時からフル代表を目指してきた。「より重みがあります。ずっと、この機会を目指してやってきました。選ばれるようにしっかりと調整していきたい」と力強く言った。2年目の開幕前に、もう1つ大きな仕事が待っている。

 ◆高卒2年目以内の日本代表 昨年の日米野球で高卒2年目、20歳の大谷(日本ハム)と藤浪(阪神)が選ばれた。インターコンチネンタルなど若手主体の大会を除き、五輪とWBCに限ると、松坂(西武)と田中(楽天)の2人がいる。松坂は高卒1年目の99年、シドニー五輪予選(アジア選手権)に出場。19歳になったばかりの9月15日台湾戦で完投勝利を挙げた。00年シドニー五輪は3試合に登板したが、この時は20歳だった。田中は高卒2年目の08年北京五輪に出場。19歳の8月13日キューバ戦で国際試合デビューした。

※記録と表記は当時のもの