えっ、バウバウ!? 右膝関節炎でキャンプ別メニュー調整中の阪神糸井嘉男外野手(35)が4日、2月中旬の本隊復帰へ順調な仕上がりを見せた。男子200メートルハードルのアジア最高記録保持者・秋本真吾氏(34)から走り方指導を受け、その手応えに「バウバウ!」と回答。キャッチボールはキャンプ最長50メートルを投げ、ティー打撃ではキャンプ最多253スイング。絶口調も順調な証しだ。

 糸井はニヤリと笑い、口をパクパクさせた。口の動きを読み取れず苦悩する報道陣の表情を確認すると、突然、想像だにしなかったフレーズを言葉に変えた。

 「バウバウ!」

 キャンプ4日目。元陸上選手で臨時コーチを務める秋本氏からマンツーマン指導を受けた。オリックス時代から親交があり「(当時と)違うトレーニングも教わった」。並んだハードルを横歩きでまたぐメニューもこなしながら、走り方を研究。さらにスピードは増しそうか? そんな問いかけに「バウバウ!」だ。ポカンとさせてから「まあまあ、あるよ」と口角を上げた。犬のように素早く走れるという意味か、それとも…。とにかく変幻自在な糸井ワールドは順調なリハビリの証しといえるだろう。

 この日は腸腰筋の鍛え方を初めてレクチャーされた。足を上げ下げする際に必要な筋肉。鍛えるのが難しい筋肉と言われ「糸井さんも結構ヒーヒー言いながらやっていた。普段使っていなくて、しんどかったみたいで。まだ伸びしろあります」と秋本氏は説明する。

 秋本氏 スイングの時もそうだし、ここが大きければ大きいほど投げる動きにもつながる。糸井さんはものすごい筋肉を持っている。プラスして技術が乗れば、もっと効率よく走れるしケガのリスクが減る。

 つまり、腸腰筋を鍛え続ければ昨季53盗塁からの盗塁増はもちろん、走攻守でさらなる「超人化」が可能というわけだ。今後は本屋敷トレーナーの下で腸腰筋を鍛える方向。秋本氏はシーズン中も虎戦士を指導する予定になっており、頼もしい援軍となりそうだ。

 「秋本講座」を受ける直前のキャッチボールでは、キャンプ最長の約50メートルまで距離を伸ばした。大きく振りかぶり、右足で踏ん張って強いボールを連発。炎症のある右足について「激痛や!」と冗談めかす余裕もあった。ティー打撃ではキャンプ最多の計253スイング。バランスボールに乗って240スイング、立って13スイングの強度も上がっている。2月中旬の全体メニュー合流へ。「バウバウ!」のひと言が明るい兆しを予感させる。【佐井陽介】