若さを取り戻すキャンプにする。プロ13年目で初の2軍スタートとなった楽天藤田一也内野手(34)が、悲壮感を口にした。「調整だと思っていない。自分の意志ではなく2軍でキャンプを迎えたということで、危機感を持ってやっている」。じっくりコンディションを整えてほしいという1軍首脳陣の厚意に甘えず、自らを奮い立たせる。

 若手の存在は、今の藤田にとって不可欠な潤滑油だ。全体練習をこなし、最後のサーキットトレーニングではハードルを跳び越え、両腕で重い綱を持ち上げる…。誰もが悲鳴を上げる練習にも一切手を抜かない。「若い選手のなかでやるのは刺激になる。みんなが上を目指しているが自分も負けない。『まだまださびていないんだぞ』と思っている」と語調を強めた。

 それだけの体作りはしてきた。昨年からパーソナルトレーナーと個人契約を結び、ケアには人一倍気を配った。今年の自主トレでは、過酷なランニングをこなし、体に疲労が残っている状態で守備などの技術練習を行った。「シーズン中のしんどい時期にどれだけ動けるか? 僕は調子が悪いと打率が下がる。今年はそれがないように。好不調の波を小さくするための準備です」。すべては、主力としてフル出場するためだ。

 チームから頼られる選手に。先人たちの奮闘も藤田を熱くさせる。「広島は新井さん、日本ハムは田中賢介さん。優勝するチームには、必ず頼られるベテランがいる」。今年35歳。若手にも負けない体を誇示し、チームの柱となる。【田口元義】