今季も「てきと~」に。そして、鉄腕を目指す。楽天金刃憲人投手(32)が、2軍キャンプでの第1クールを「いつも通りっすよ」と総括した。連日ブルペンに入るようながむしゃらさはない。オン・オフを適度に切り替えながら、自分を見失わずに淡々と調整する。「一番平常心でマウンドに上がる」という「てきと~」の思考法は、キャンプでも徹底されている。

 万全の状態を作るすべは、心得ている。今年の自主トレは仙台で行い、ウエートトレーニングなど体の強化に努めた。ブルペンに入ったのは1度きり。「試合が始まったら同じなんで」。昨季は練習からキャッチボールに時間を割き、試合中も待機中のブルペンでシャドー投球を続けることで、フォームを安定させていった。実戦に突入すれば、自然と左腕を振る時間が増えることを、熟知している。

 昨季は「今年がダメなら終わり」と不退転の決意で臨み、結果を出した。自己最多の54試合登板に、プロ野球記録となる2度の「1球勝利」。だが、金刃は満足していない。目指すは「鉄腕」の称号だ。「そうですね。なりたいっすね」。緩やかな口調で話すが、目は真剣だった。キャンプで土台を作り、実戦では打者を「てきと~」に牛耳る。鉄腕への道。視界は、良好だ。【田口元義】