「勝負の1年」。その第1歩を、危なげなく踏み出した。楽天森雄大投手(22)が8日、今キャンプ初のシート打撃に登板し、打者6人に対して被安打は1。奪三振こそゼロだったが、速球とカーブのみで5人を内野ゴロに打ち取った。「初めての実戦形式にしてはよかった。去年までならカウントが悪くなるとボールを置きにいってしまったけど、今日はボール先行でも落ち着いてストライクゾーンで勝負できた」。

 前日の取り組みが、早くも成果となって現れた。7日のブルペンから、本格的にワインドアップでの投球を開始した。岸の投球フォームを参考に、軸足に体重をしっかりと乗せ「蹴り上げる」イメージで下半身の力を上半身へと伝えていく。昨年は「タイミングが合わなかった」と、無走者でもセットポジションで投げていた森の進化に、杉本投手コーチは「やろうとしていることが徐々にできている」とうなずいた。

 心もたくましくなった。昨年オフにメキシコのウインターリーグに派遣され、海外選手のハングリー精神に心を揺さぶられた。「メンタル的に不安に思っていた部分が消えた。マウンドでも1球に集中できるようになった」。武者修行を経て、心身共に強くなった姿を印象づけた。昨季は、1軍登板ゼロと期待を裏切っただけに「去年の分まで爆発したい」。大器と呼ばれた左腕。今季こそ、その真価を発揮してみせる。【田口元義】