二塁争いに一気殴り込み! 阪神ドラフト5位糸原健斗内野手(24=JX-ENEOS)が8日、プロ入り初実戦となる紅白戦に「紅組5番二塁」で先発出場。左翼フェンス直撃の二塁打を放ってみせた。重盗を仕掛けるなどアピールしたルーキーを金本知憲監督(48)も絶賛。空白の二塁レギュラー取りへ、名乗りを上げた。

 小柄な体格から想像できないほど、糸原の打球は伸びていった。4回無死。松田の外角高め143キロ直球を力強く振り抜いた打球の伸びは、レフト高山の予想も上回ったに違いない。懸命に背走する高山の頭上を越え、左翼フェンスに直撃した。

 「カウント2ボールだったので、自分のポイントで打てるよう、積極的に打っていこうと思っていました」

 プロ初安打がインパクト満点の二塁打。2回1死での第1打席では、ライナーの打球を二塁上本の好捕に阻まれたが、首脳陣に持ち前のパンチ力をアピール成功だ。さらに4回の一打の後の1死一、三塁。三塁走者の糸原は、一塁走者荒木の盗塁で、捕手岡崎が二塁送球した際にすかさずスタート。本塁生還に成功して追加点を1人で奪った。守備でも3度の守備機会を無難にこなし、走攻守でレベルの高さをみせつけた。

 6回1死二塁の打席では、右方向に引っ張り、しっかりと二ゴロで走者を進めた。随所で輝いたルーキーに、金本監督も「あれ(糸原)は実戦向きやね。下半身の使い方を覚えたら、しぶとさもあるし。引っ張れるし流せるし、ガッツもありそう。まだ遠慮しているところはあると思うけど、面白い存在だ」と目を細めた。

 二塁争いはこの日1安打の上本に、2軍キャンプに参加中の大和、さらには負傷からの復帰を目指す西岡ら実力者が並ぶ。指揮官が「野手は決めている選手が2人しかない。楽しみでもあるけど、大変な作業になってくる」と話すように競争は激化の一途をたどっている。

 「まだ全然です。これから結果を出していかないといけない。1日1日アピールするのに必死です」

 この日活躍を見せたとはいえ、糸原におごりはない。頼もしい男が、猛虎に新しい風を吹かせた。【梶本長之】

 ◆糸原健斗(いとはら・けんと)1992年(平4)11月11日、島根・雲南市生まれ。大東西小2年から野球を始め、開星(島根)で甲子園3度出場。明大では3年時に三塁手でベストナイン。15年からJX-ENEOS。16年ドラフト5位で阪神入団。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。

 ◆阪神の二塁レギュラー争い 二塁手は上本、大和、西岡に2年目の板山、新人の糸原がレギュラー争いに参戦。今季は遊撃を務める北條も、昨年は二塁で先発出場経験あり。さらに首脳陣の方針で鳥谷も二塁を務める可能性も浮上。例年以上に激しさを増している。