日本ハム大谷翔平投手(22)が、圧巻の打球で進化を証明した。18日、沖縄・名護で今キャンプ初の屋外フリー打撃を行い、41スイングで13本の柵越え、そのうち7本を場外へ運んだ。中堅後方のスコアボードを越える、推定160メートル弾もマーク。右足首痛で3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場を断念し、別メニュー調整が続くが、患部への負担が少ない打撃は確実にレベルアップしていた。

 まるでロケットのように速く、強い打球がスコアボードを飛び越えた。隣で打つレアードが、悔しそうに大声を張り上げた。スタンドは拍手喝采。大谷の今キャンプ初の屋外フリー打撃は、ケタ違いの柵越えショーだった。「楽しかったです。去年より(レベルアップしていると)、振ってる感じで分かる。中(屋内)で振っていても、それなりにいくんじゃないかと思っていました」とサラリ。右足首痛で調整が遅れ、ベールに包まれていた2017年の大谷翔平。打撃は、さらに進化を遂げていた。

 この日、スパイクを履いて行ったのは「5割走」。ブルペン入りの見通しも立たず、投手としての実戦復帰は遠い。だが室内で地道に打ち込んできた打撃は、22本塁打を放った昨季以上に力強さが増していた。スコアボードを越えた約160メートル弾だけではない。同ボードの天井に当たった4本を含め、13本の柵越えのうち7本を場外に運んだ。

 序盤の10スイングで右方向への打球はゼロ。ライナー性の打球が6本で、柵越えも1本だけ。まずミートを意識した打撃から入り、徐々に力を入れるいつものスタイル。久しぶりのフリー打撃でも、力任せに振ることはなかった。「工夫してるところはたくさんあります」。構えやテークバックなど、さまざまな部分には微調整を加えた。「去年のままでいくってことはないです。足の状態、スイングの状態が上がってくれば、もっといい打球が打てると思う」と事もなげに言った。

 患部の状態に問題がなければ、今日19日以降も打撃練習に組み込まれる見込み。栗山監督は「走れないと試合に出られない。そこからが長い」と慎重な姿勢を貫いた。大谷も「ベース板での曲がりとか、人工芝で(スパイクが芝を)かんだときですね」と先を見据えるが、開幕までは、まだ1カ月以上。一筋の光明は見えてきた。【本間翼】

 ◆15年キャンプの大谷160メートル弾 名護キャンプ3年目の15年2月19日、練習試合出場後にプロ初の特打を行った際、118スイング目で推定160メートル弾を放った。スコアボードを越え、スタッフの「越えたぞ~」の言葉にガッツポーズ。30分間、143スイングで47本の柵越え。

<大谷の調整過程>

 ◆投手断念 米アリゾナキャンプイン前日の1月31日、右足首痛のためWBCの投手としての出場辞退を表明。合同自主トレも別メニュー。

 ◆ティー打撃開始 1日のキャンプ初日は完全別メニューで、ランニング、キャッチボール、屋内でティー打撃。

 ◆野手も見送り 2日、WBCの野手出場も見送りが決定。

 ◆2週間ぶりスパイク 7日、キャッチボールの際、朝露の影響で滑りやすい芝生を考慮してスパイクを着用。アリゾナキャンプでは初めてだった。

 ◆マシン打撃 14日、名護の屋内練習場で、1月末以来のマシン打撃。46スイングの後、城石打撃コーチ相手に56スイング。

 ◆スパイク履きラン 15日、土のグラウンドで、リードオフから2、3歩、ダッシュを繰り返す。

 ※アリゾナの日付は現地時間