ヤクルト由規(27)が再び、飛躍する。昨季は長く苦しんだ右肩痛を克服し、1786日ぶりに1軍で勝利を飾った。かつて最速161キロを計測した剛腕は、現在2軍キャンプ(宮崎・西都)で1軍ローテーション入りを目指し、汗にまみれている。ここまでは順調な仕上がり。今季の目標を「フル回転」と掲げ、先発投手として完全復活を目指している。

 由規はまだ納得していない。右肩痛、育成選手を経て、昨季5年ぶりに1軍のマウンドに戻ってきた。先発で2勝を挙げた。だが「去年は投げたといっても、1日投げたら10日は休んでいた」。昨季7月に1軍登板を果たして以降、登板は間隔をあけて5試合のみ。今季はローテーション入りが確固たる目標だ。

 昨季はブルペンに週に1回入って100球ほど投げると、もう1日はネットスローで投球フォームを確認していた。今キャンプは「中1日で平均70~80球は投げている」。中6日で「フル回転」できるよう、コンスタントに投げ込んでいる。スカウト時代から由規を見てきた宮本賢治ファームディレクター(57)も「去年はこの時期にこんなに投げていない」と、ここまで順調にきている。

 オフにレンジャーズ・ダルビッシュ、日本ハム大谷らと都内で自主トレを行った。ウエートトレーニングに力を入れて「体のボリュームを上げた」と、2~3キロ増量して87キロでキャンプイン。右肩痛の再発防止へ、キャッチボールの投げ方から教わった。「実戦に生かしたい。去年よりもいい感じで投げられている」と充実のオフを過ごした。

 今季初めて打撃投手を務めたフリー打撃では、計45球で安打性の当たりは4本に抑えた。最速は143キロを計測。赤堀元之2軍投手コーチ(46)は「順調じゃないか。1軍で活躍していかないといけない投手」と期待する。

 由規は「キャンプが終盤になるにつれて、いい球を放れるようにしたい」と、これからもアピールを続けていく。先発定着をにらみ、フリー打撃の日も「その前に30球、後で10球投げた」と球数を増やすことを意識している。完全復活まで、しっかりと歩き続ける。【秋吉裕介】