崖っぷちの阪神ドラフト1位の大山悠輔内野手(22=白鴎大)が22日、息を吹き返した。キャンプの実戦5試合で15打数ノーヒットと苦しんでいたが、この日の紅白戦で紅組の7番三塁で出場。2番手藤川から中前打を放つなど、2安打をマーク。2軍修業の可能性もあったが、ギリギリのところで踏みとどまった。

 鮮やかな「球児打ち」だった。3回の先頭で迎えた2打席目。カウント1-1からテレビ表示で144キロの外角直球をはじき返した。「(バットの)先っぽだったけど、これまでやってきた形が出て良かった」。鋭い打球が中堅の芝生に弾む。記念すべきキャンプ初安打に、宜野座球場が温かい拍手で包まれた。

 4回にはドリスの150キロをフルスイング。痛烈な打球が遊撃植田のジャンプして差し出したグラブに当たり転がった。沈黙を続けていた背番号3がマルチ安打。バットを当てにいくのではなく振り抜くことを課題としてキャンプを過ごしてきた。辛抱強く見守ってきた金本監督も「あれはストレートに強いという評判通り。いいポイントで打てていると思うよ」と笑顔を見せた。【桝井聡】