巨人が侍ジャパンのテクニカルディレクター(TD)を務める鹿取義隆氏(60)を今春からのフロント招聘(しょうへい)に動くことが22日、分かった。OBでもあり、プロ、アマに精通している経験を生かし、堤GMの下で業務に携わるとみられる。WBCは準決勝敗退でTDの職務も一区切りとなり、次は名門の強化へ尽力する。

 鹿取氏の豊富な経験が巨人の進化へと還元される。侍ジャパンのTDとしてWBCの戦いぶりを米国で見届けた同氏を、フロント強化の一環として招聘に動く。ポストは未定だが、今春から堤GMの下で職務を託すことになりそうだ。

 今季からスカウト体制が再編され、長らく携わってきた山下前スカウト部長に代わり、岡崎スカウト部長が就任。チームの将来を担う逸材を発掘する上で組織を強化する必要がある。侍ジャパンのU15代表監督やTDとしてアンダー世代の力量を見定め、アマチュア球界にパイプのある鹿取氏は有益な存在になる。

 OBでもあり、02年に第1次原政権の下でヘッドコーチを務め、日本一に貢献。投手コーチも含めて5シーズンにわたり、巨人での指導歴を誇り、首脳陣や選手の実力、性格を把握している。06年の第1回WBCでは投手コーチとして初の世界一にも導くなど国際経験も豊かだ。

 チームは2年連続でリーグ優勝を逃し、12年を最後に日本一から遠ざかっている。近未来の巨人を作り上げる中で、鹿取氏の手腕に期待がかかる。

 ◆鹿取義隆(かとり・よしたか)1957年(昭32)3月10日、高知県生まれ。明大から78年にドラフト外で巨人入団。87年に防御率1・90で王巨人のV1に貢献し「鹿取大明神」とも呼ばれた。90年、西武に移籍し、最優秀救援投手賞。97年で現役を引退し、98年~00年に巨人で1、2軍投手コーチ。01年はドジャース傘下1Aで投手コーチ、02~03年は巨人でヘッドコーチ。14年に侍ジャパンのTDに就任し、15年のプレミア12で投手コーチ。現役通算成績は91勝46敗131セーブ、防御率2・76。