ルーキーの開幕切符が確定した。日本ハムのドラフト2位、石井一成内野手(22=早大)が29日、チームの新人で唯一の開幕1軍メンバー入りを果たした。ベンチ入り可能な出場選手登録名簿がセ、パ両リーグから公示され、堂々と名を連ねた。新人王獲得を理想に掲げ、1年目から戦力としてスタートを切る。

 開幕1軍メンバーに入った石井一は、スタートラインに立てた喜びをにじませた。「目標としていたことなので、とてもうれしいです」と初々しく話した。公示されたこの日、札幌ドームでのチームの全体練習が終わっても、居残り特守を敢行。グラウンドにいる選手が最後の1人となるまで汗を流す。初心を忘れず、向上心をみなぎらせた。

 キャンプからアピールを続けて突っ走ってきた。ルーキーで唯一、1軍の米アリゾナキャンプに同行。チーム今季初の対外試合で最初の安打を放つなど、存在感を発揮。オープン戦では全20試合に出場し、1本塁打をマークするなど結果を残した。「少なからず成長はできている」と、手応えを口にする。さらに打撃より持ち味とする守備面でも器用さを見せ、実戦では遊撃以外の内野の複数ポジションをこなした。「どこでも行けと言われた時に行けるように」と、準備はできている。

 1年目から躍動するつもりだ。昨年、早大の1学年先輩で楽天のドラフト3位ルーキーだった茂木が開幕スタメンの座を勝ち取り、新人王候補に挙がった。身近な先輩がプロの世界で活躍する姿に勇気をもらった。15年に早大の2学年先輩の有原、昨年の高梨と、チームから2年連続で輩出している名誉を視野に入れる。「理想は新人王がほしい」と掲げる一方で「まずはチームに貢献すること」と先を見据える。

 昨年の日本一チームの本拠地での開幕3連戦には、多くのファンが集まることが予想される。「とてもわくわくしている。満杯になった札幌ドームはどんな雰囲気か楽しみ。ルーキーらしく、はつらつとしたプレーをできたら」。指名あいさつの際、色紙にしたためた文字は「開幕1軍」。1つの夢をかなえ、プロとして初めてのシーズンを迎える。【保坂果那】

 ◆日本ハムの新人王 前身の東映、日拓時代も含めて過去13人。59年張本勲が最初で、日本ハムに球団名を変更した74年以降は8人が輝いている。04年の北海道に本拠地移転後は06年八木智哉、10年榊原諒、15年有原航平、16年高梨裕稔の4人。ポジション別では投手10人、内野手1人、外野手2人で、内野手は96年金子誠。

 ◆ルーキーの開幕1軍 04年の本拠地移転後、今年の石井一が19人目。内野手登録に限れば06年川島慶三を皮切りに5人目。開幕戦出場を果たしたのは04年以降5人で、13年大谷は「8番右翼」で先発し4打数2安打1打点。2リーグ制後、高卒新人で開幕戦2安打は60年矢ノ浦(近鉄)以来2人目の快挙だった。野手では14年岡が代走から途中出場で右安打を放ち、昨年は横尾が代打出場し1打数無安打だった。投手では13年鍵谷が3番手で打者1人を抑えホールドをマーク。14年金平も中継ぎで登板している。