巨人は「聞いてないよぉ~」と嘆いたに違いない。DeNA先発ウィーランドが熱湯…ならぬ熱投で強力打線を封じ込めた。

 始球式に登場したダチョウ倶楽部が見守る中での来日初登板。「ヤ~!」と力任せにはいかない。「絶対に押すなよ」とばかりに、持ち味の緩急を発揮した。100キロを切る縦割れカーブで簡単にカウントを稼いでから、140キロ台後半の直球を差し込む。強打者たちのバットが「くるりんぱ♪」と空を切る。5回まで毎回の8奪三振。ベイスターズの庭で「どうぞどうぞ」と3連勝を許すわけにはいかない。1回に宮崎、2回に桑原の適時打で奪った主導権を渡さなかった。

 オープン戦から好調で「準備はできた。ストライク先行で自分の投球に徹したい」と話していた。5回のマウンド前、再び登場したダチョウ倶楽部が外野で戯れる姿をけげんそうに見つめた。日本の伝統芸能を理解するには時間が足りないが、日本の伝統球団と堂々と渡り合った。6回2死から坂本勇に安打され、阿部への初球が浮いてしまった。同点2ランを許してこの回で降板した。1球の悔いこそ残るがこの助っ人は本物だ。【宮下敬至】