楽天の4番ジャフェット・アマダー内野手(30)に待望の1発が飛び出した。12日の西武戦の9回。7点差と試合は決していたが、2死一塁からの今季1号2ランは、左翼ポールを直撃した。打率1割台と不振にあえいでいた主砲が、復調のきっかけをつかんだ。首位の楽天は5-10と敗れ、連勝が3で止まった。

 眠っていたアマダーのバットが、ようやく火を噴いた。1ボールから、西武6番手・小石の2球目のストレートを捉えた。それまで4打席は空振り三振、中飛、見逃し三振、空振り三振と精彩を欠いていたが、9回の最後の打席で結果が出た。「まあ、打てて良かったよ」。簡潔な言葉で喜びを表した。

 1番茂木が既に3本塁打を放っている。2番ペゲーロは、初回に先制の4号2ランを放っていた。開幕から投打がかみ合って首位を走る楽天の一番の不安材料は、ともに打率1割台の3番ウィーラーと4番アマダーの不振だった。そのアマダーに1号が飛び出した。梨田監督も「ようやく出たね」と安堵(あんど)した。

 楽天に入団した昨年の8月には、3試合連続を含む月間8本塁打と、15年メキシカンリーグ本塁打王の爆発力を見せた。一方で開幕前に左手首の負傷など、故障で3度も戦列を離れた。今年は体のケアにも注意を払い、開幕から4番を任された。不振でも我慢して起用した梨田監督は「(気温が)20度ぐらいになれば」と話す。日本より温暖なメキシコ生まれの主砲に、気温上昇とともに調子が上がることを期待している。

 連勝が3で止まったことで、アマダーは言葉少なに球場を後にした。それでも開幕から9試合目に飛び出した1発は、今季初の逆転負けの中で大きな光を差した。【久野朗】