ヤクルト先発石川が、投手人生で最高級のガッツポーズを繰り出した。6回2死一塁で、相手はカープ不動の3番・丸。「甘くいって打たれるのは嫌。ゴロを打たせようと」丁寧に、外角へ変化球をまぶしていった。道中で二盗を決められ3ボールとなるとスイッチが入った。懐へじわじわボールを近づけ、6球目はインローいっぱいのシュート。自打球を当てさせ伏線とし、正面突破のど真ん中からシンカーを沈めた。

 この回3個目の空振り三振を見届けると、グッとこぶしを入れたまま、マウンドの傾斜を利用して軽やかにステップ。勢いのまま、着地と同時にクルリと1回転した。「自然にというか…自然に出たと思います。三振を取るピッチャーじゃないので」と少し照れた。

 8奪三振を「本当ですか?」と聞き返した。走った直球は「遅いんで…。両サイドへ低めに」と控えめに自己評価した。ザ・技巧派のスタイルと誠実さがオブラートとなり、あふれんばかりの闘争心を包み隠している。2勝目のお立ち台で「エースという気持ちで投げている」と自分の立場を受け止めた石川。気迫を防波堤としてチームの連敗を3で止めた。【宮下敬至】