楽天松井裕樹投手(21)が23日、苦手ヤフオクドームを舞台に圧巻の投球を披露し、ソフトバンクに連勝した。一打逆転のピンチが迫った8回2死一、三塁の場面で登板すると、武器のチェンジアップを駆使して切り抜けた。9回も抑えて、リーグトップの8セーブ目。自身の開幕からの無失点試合数を「12」に伸ばした。

 ヤフオクドームを、黙らせた。8回の男ハーマンが崩れるとすぐさま、守護神はマウンドへ向かった。1点差に追い詰められた直後、自身が四球を与え2死満塁となり、打席にはソフトバンク松田を迎えた。ここで松井裕は武器のチェンジアップにかけた。1球目に空振りを奪うと「タイミングが合っていなかった」。2球目も同じ球種で攻め、セカンドゴロに打ち取ると、自然に雄たけびがでた。

 もちろん9回も行く。ランナー1人を背負うも、最後はもう1つの武器、スライダーで今宮から空振り三振を奪って最後を締めた。梨田監督は「イニングまたぎでいかせたが、疲れもあると思うけど、よく抑えてくれた」と称賛。松井裕は「今までもここで出たらの準備はしていた。チームの調子の良さに助けてもらっているだけなんで」と、謙虚に振り返る。

 ヤフオクドームは鬼門だった。昨季4試合に登板し防御率9・00。16年4月17日のソフトバンク戦、同じデーゲームで悪夢を見た。7-3と4点リードで上がったマウンドで炎上。吉村に3ラン本塁打を浴びるなど4失点。チームも延長サヨナラ負けの、ショッキングな試合だった。この日も先発予定の岸が、腰痛のため直前で登板を回避。不安要素を抱えたまま試合に入ったが、もはやお家芸の継投策で勝ち切った。22日に今季チーム初の完投勝利を挙げた美馬は「リリーフ陣を休ませたい」と誓っていた。次は自分たちが先発を支える番。松井裕は「助け合いで勝てた。チーム力が高まる」と胸を張った。

 今日の試合も「助けられた」という。9回裏2死一塁の場面、野手がマウンドに集まってきた。「ピンチの時に声をかけてくれた。声をかけてもらえることで、助かります」。屈強な守護神とはいえ、レギュラークラスでは最年少21歳。「アニキ」たちと支え合いながら、しびれる場面を乗り切っていく。【秋吉裕介】