連敗脱出じゃ~! 広島が終盤に逆転し、連敗を4で止めた。緒方孝市監督(48)もホッとした表情。起爆剤として出場選手登録された2年目の西川龍馬内野手(22)が、今季初打席で決勝打を放った。中継ぎ陣も粘り、中田廉投手(26)は5回1死満塁をしのいだ。流れを変えて、明日25日から地元で巨人と首位攻防戦だ。

 トンネルを抜けた。緒方監督はベンチの前で、殊勲者たちをハイタッチで迎えた。ゲームは難しい展開。中盤まではヤクルトペースで、連敗中の悪い流れにのみ込まれそうになった。止めたのは他でもない選手たち。見事に起用に応えてくれた。引き揚げの際、決勝2点二塁打でヒーローのフラッシュを浴びる西川の横を通り「ファームでゆっくりしとったからね」と優しい目で笑った。

 強心臓にかけた。同点に追いついた後の8回1死満塁。ベンチには代打の切り札小窪も、堂林も、左なら天谷もいた。相手石山は右腕だが、今季の代打方針は「左右関係なく状態での起用」が基本。それでも石井打撃コーチの「力強い真っすぐに合うのは西川」と進言を受けて決断。緒方監督も「彼は去年から普通緊張して力が入る場面でも、堂々と自分の打席で自分のスイングだけをしていたから。あとは早い段階で打席に立たせたかった」と思惑が一致した。今季初出場でも強心臓は健在だった。

 そして指揮官は帰り際、取材を受ける中田の横を通り、声量を少し上げた。1点を追う5回1死満塁をしのいだ「投」のヒーローだ。「取っては取られで勝ち越された。連敗中の悪い流れになっていたけど。(中田)廉があそこで踏ん張ってくれた。完全に向こうに流れがいくところを止めてくれた。大きかった。その後の中継ぎも無失点。投手が踏ん張って、野手が奮起した」と何度もうなずいた。

 流れを変えたかった。前日22日には「禁じ手」も使った。1回無死一塁で菊池に送りバントを命じた。昨季はシーズンを通して3度しかなかった。開幕前に「勢い、流れ。バントは進む一方でぶちっと切れるから」と語っていた作戦だった。雨や相手が小川など総合的な判断だったが、打線の状態を考慮したのも事実だった。それがこの日は、選手が躍動して連敗を止めた。「また広島に戻ってしっかりね」。指揮官は足取り軽く、クラブハウスへと消えていった。【池本泰尚】