巨人が「勢い」で広島にねじ伏せられ、首位奪回に失敗した。

 同点の6回無死一塁で先発大竹寛から池田にスイッチ。ルーキー左腕ながら防御率1・29の安定感に首脳陣は託した。だが重厚な赤ヘル代打陣に押し返された。代打エルドレッドに中前打、1死二、三塁で代打新井に敬遠気味の四球で満塁とした。ボール先行の中で腕が振れず、ストライクを欲した会沢への初球チェンジアップを勝ち越しの2点適時打とされた。代打堂林にも犠飛を許し、形勢が一気に広島に傾いた。

 勢いを与える機会を自ら与えてしまった。4、6回は大竹寛が、7回は育成出身史上初のプロ初登板初勝利の超シンデレラボーイ篠原が、先頭を四球で歩かせた。いずれも失点に直結した。高橋監督は「失点の形がもったいなかった。先頭の四球? そこが一番。打たれるならしょうがないけど」と最大敗因と感じた。

 先勝した初戦は虎の子の1点にとどまった打線は活発化した。開幕21戦目にして初めて1、2番を入れ替え、立岡、中井と並べた。効果はてきめん。2試合連続無安打だった中井は初回に3号ソロを放てば、立岡は2安打3打点と続いた。指揮官は「狙いはある。その時にいいと思った形を」と真意は多くを明かさなかったが、結果は出た。

 得点を奪ったが、波に乗る池田、篠原が相手にのみ込まれた。長丁場を見据えれば必要不可欠な経験と言える。「悪い結果をいいとは言えないが、いい経験も悪い経験も投げ始めたばかりだから、何かしら次につなげてほしい」。広島と1・5ゲーム差に再び離されたが、高橋監督は若手の明日への加速となることを望んだ。【広重竜太郎】