北海道初お目見えで鮮烈な1発をかました。巨人から新加入の日本ハム大田泰示外野手(26)が、楽天4回戦(札幌ドーム)で移籍後初の本拠地で本塁打を放った。1点リードの5回1死、今季第1号となるソロを左中間席へ。3月4日の古巣とのオープン戦で左腹斜筋を負傷し、出遅れていたが、「新生大田」をファンに見せつけ、2連勝に貢献した。

 大田が黄色に染まった札幌ドームのスタンドに、あいさつ代わりの1発を突き刺した。5回の第2打席。カウント2-1から、楽天美馬の浮いた139キロスライダーに反応した。左中間へ、アーチをかけた。「この感触を忘れないように、今日は寝ないです」と上機嫌。歓声を浴びながらダイヤモンドを1周する足もとは、浮き立つ気持ちで少し小走りだった。

 3月4日、札幌ドームでの巨人とのオープン戦。打席でケガを負い、開幕1軍が絶望的となった。1カ月以上かけ、今月23日西武戦で1軍に合流。この日まで3試合に出場したが、12打数1安打と結果を残せなかった。「ケガをして戻って来て1試合目でホームランを打てたことは自信になる。ホームランを出すために、キャンプも自主トレもやってきた」。本拠地での苦い思い出も、結果が出ない焦りも、“一振り”で振り払った。

 プロ9年目、覚悟を秘めている。2月の米アリゾナキャンプでは、実戦中にベンチで人一倍大きな声を出し、チームメートらを驚かせた。声出しは巨人時代から変わらないが、大声量は「おもしろいやつ」の印象を与え、なじむきっかけとなった。移籍後、何度も繰り返した「日本ハムの大田泰示として」の言葉に、新天地にかける思いが込もっている。

 札幌ドームに集まった満員のファンへ、鮮烈な印象を残した。だが「まだヒット2本」と、気を引き締める。本来なら、3月31日の札幌ドーム開幕戦で、巨人時代から親しい大累一家と自身の家族が観戦予定だった。自身の離脱でかなわず、ホームで戦う姿を家族に見せられてない。だが、シーズンは始まったばかり。その機会は、まだ何度でもある。【保坂果那】