超満員の甲子園に“神風”が吹いた。阪神糸井嘉男外野手(35)が、仰天の甲子園初アーチをかっ飛ばした。2点ビハインドで迎えた初回1死一塁。フルカウントから、バルデスの低め133キロをすくい上げた。

 その瞬間、右翼手平田が落下点に入ったかに見えた。ところが、大慌てで右中間方向へ背走。それでもボールは落ちてこない。まさか、まさかのオーバーフェンス。移籍後の本拠地初、一時は同点に追いつく4号2ランに、静まり返ったスタンドがドッと沸いた。

 一体何が起こったのか? 打った糸井本人も「打った瞬間、角度が上がりすぎかなと思った。風はあったんかな?」と首をひねった不思議なアーチ。この日も甲子園特有の右翼から左翼への浜風が吹いていた。ただ、風はそれだけではなかった。

 阪神園芸で長年グラウンド整備に携わる金沢健児氏は「ちょうど大気が不安定な時間帯だった。浜風とは違う風だった」と、球場内を舞っていた別の風の存在を指摘した。片岡打撃コーチも「突風やからね。うまく(風に)乗ってくれた」。打球をスタンドへと押し込んだ“神風”があったと証言した。

 「次、やるだけです」。チームが敗れたこともあり、糸井は言葉少なにクラブハウスへと引き揚げた。開幕からスタメンを張り粉骨砕身するFA戦士。記念すべき甲子園1号は、神様からのプレゼントだったのかもしれない。【桝井聡】