4番が存在感を示した。DeNAが両軍計29安打の乱打戦を制し、首位広島に2カード連続の勝ち越しを決めた。筒香嘉智外野手(25)は今季初の3安打猛打賞の活躍で打線をけん引。最大7点のリードが終わってみれば1点差の薄氷の勝利も、勝ちは勝ち。勢いに乗ってきた主砲のバットが、チームも波に乗せる。

 冷静に、鋭くバットを振り抜いた。2点リードの3回無死満塁。筒香は内角高めの直球を右前にはじき返した。先頭からの四死球と安打で迎えた序盤の絶好機。「みんながつないでくれたので、何としても(走者を)かえすんだと、強い気持ちで打席に入りました」。4番の責務を果たす一打で流れを一気に引き寄せ、直後のロペスの満塁弾につなげた。

 「勝つために仕事をする」という筒香の考えが凝縮された打席だった。本塁打は、球が投手の指を離れた瞬間に「いける」と感じるという。芯で捉えることだけに集中して打席に立ち、コンマ何秒のわずかな間でスタンドを見据える。初球がそうだった。「最低でも犠牲フライ。球を上げることを考えていた」が、変化球が「いける」ど真ん中へ。フルスイングした大飛球は惜しくも右翼ファウルゾーンへきれたが、その手応えを深追いしなかった。