最後の最後でハッピーな54歳の誕生日になった。ソフトバンク工藤監督の予言? は土壇場で現実となった。2点を追う9回、無死一塁からデスパイネがロッテ守護神益田から左翼席へライナーで同点7号2ラン。試合前、関係者からケーキで祝福された時に「昨日(4日)デスパイネに、明日(5日)誕生日だよと言うと本塁打(6号2ラン)を打ってくれた。今日も打ってくれるとうれしいな」と話していた通りになった。試合後「打ってくれてありがとうございます。本塁打の力を今日は改めて感じる」と、感謝した。

 さらにこの回、孝行息子・上林が決勝アーチとなる祝砲をプレゼント。2死から益田のシンカーをすくい上げ右翼席中段まで運ぶ6号ソロ。ヒーローインタビューでは「監督、おめでとうございま~す。やりました~」と照れくさそうにベンチを見た。

 これで工藤監督は監督就任の15年から誕生日は負けなしの3連勝。今年はデスパイネ、上林と新戦力2人のアーチでの白星だ。試合後、先発中田からウイニングボールをプレゼントされ「持って帰ります。上林、デスパイネ、中田にサインしてもらおう」とニッコリ。15年はサヨナラ本塁打だったため、代用ボールだが、福岡市内の自宅に飾る誕生日勝利記念球がまたひとつ増えた。

 対ロッテは開幕から7連勝。97年5月10日からの8連勝以来20年ぶり。このうち2勝は投手工藤が勝利を挙げている。チームはすべて逆転での5連勝で貯金は今季最多の6。4月にはなかった本来の力強さが戻り2位に浮上した。【石橋隆雄】