日本ハム浦野が695日ぶりの白星だ。最速145キロの直球を軸に、得意のフォークなどを交えて5回0/3を6安打無失点。15年6月10日巨人戦以来となる、今季初勝利を手にした。敵地のヒーローインタビューで「すごく、うれしいです。去年、ケガで1年間、ダメだったので…その時にいろいろな方にお世話になったので、感謝の気持ちを出せるようにしました」と思いがあふれた。

 昨春に右肩のインピンジメント症候群を発症。この負傷は右肩関節を形成する骨と腱板(けんばん)が衝突し、炎症が発生する症例が多いが、浦野の事例は特殊だった。「骨が壊死(えし)していると言われました」。関節の骨同士がぶつかり合い、右肩後方部分の骨が壊死した。

 回復へ自然治癒を選択した。昨年6月から2カ月間はノースロー調整。ボールも持てない日々に心は沈んだが、骨は蘇生した。「死んだものが、よみがえると思わなかった」と、少しずつ力を取り戻した。不安なく、右腕を振れる今が楽しい。絶望からはい上がってきた思いをボールに乗せ、チームを今季初の4連勝に導いた。栗山監督は「本当に心が折れるくらいだったと思う。こういうものが一番、チームにとって大切。推進力になると思う」と復活を喜んだ。【木下大輔】