古巣を封じて球団史上初のリーグ最速20勝に到達した。西武から楽天にFA移籍した岸孝之投手(32)が、昨季までのチームメートを7回2失点に抑え2勝目。チームに今季最多の貯金13と節目の勝利をもたらした。乾いたブーイングが飛び交う中でも動じずに本来の力を発揮。頼れるエースが、憎きエースとして立ちはだかった。

 陣取るベンチが一塁側に変わった。エースの特権である自分仕様のマウンドも変わった。頼もしかった仲間は「嫌だな、という打線」に変わった。岸は何も変わらなかった。絶滅危惧種となった美しいワインドアップで「リズム良く投げられた」。7回2失点で楽天に今季20勝目を運んだ。

 西武との初対戦。「楽しみな部分があった」と表現した。中村は特に力が入った。「真剣勝負ができる。思いっきり投げた」。7回1死で出た最速の149キロをバックスクリーン左へ放り込まれた。チームを勝たせる自信のある者にしか、本能のままに力勝負を楽しむ領域は許されない。「2回と7回。ランナーを出してから粘れた」と、セットポジションでの投球をポイントに挙げた。