阪神メッセンジャーがハーラー単独トップに立つ、無傷の5勝目を挙げた。毎回のように走者を背負っての投球が続いたが、150キロを超える真っすぐとスライダーとカーブの緩急を駆使。7回で9安打されたが、1失点でしのいだ。「特に前半は我慢我慢だった。(4回に)点を取られてしまった後に、取り返してくれて感謝している」。口をついたのは好調打線へのお礼だった。

 3月と4月は4勝負けなし、防御率1・95で自身2度目の月間MVPを受賞した。特筆すべきは、セ界を代表する“ドクターK”ぶりだ。今季の54奪三振と奪三振率10・72は、リーグトップの数字。真っすぐを軸に、緩いスライダーとカーブの組み合わせがさえ、三振の山を築いている。この日も投球スタイルを変えることなく、DeNA打線から9個の三振を奪った。

 いつも陽気な男だが、先発直前は話しかけづらい。登板当日の試合前練習は笑みを浮かべるが、問題は練習を終えたシャワー後から。着替えてからヘッドホンで音楽を聞き、集中力を高める。ここで誰も近づけないほどのオーラを出す。行動をともにする通訳は「試合前はゾーンに入ってますね。そっとしています」と苦笑い。この日も必勝のルーティンをこなし、マウンドへ立った。

 エースとしての自覚がある。「毎試合だけど、守りの時間を短くしないといけない」。チームの大黒柱として、これからも白星を重ねていく。【山川智之】